2002年秋の遠足レポート

飯ごうすいさん中

 10月6日(日) 晴れのちくもり   場所:杣谷
文章:若菜 健太

 「くもりのち雨」の予報にハラハラしながら迎えた遠足の日。天気予報なんて当てにならないものです。見事晴れを勝ち取り、上田コーチの運転で意気揚々と集合場所の八幡神社へ向かいました。途中、駐車場の確認のために杣谷へ寄ると、車がたくさん路駐してありあました。キャンプサイト確保のためまゆこコーチを現地に残し、八幡神社へ。後でその話を聞いた米田コーチの談、「娘を独り残すなんて、なんて親だ…」。(笑)

 八幡神社に着くと、すでに何組かの親子が集まっていました。ちらほらとやってくるコーチたちと中学生に当日資料を配布しました。しばらくすると場所取りに残ったまゆこコーチから報告の電話が。「テントがいっぱい立っとっる。ライブやっとるみたい。かまどは2個くらいしか作られへん。」 何故に杣谷でライブ!?

 4歳以下の子と準備のお母さん&マサトコーチは上田コーチの車で、幼児組みはバスで、小学生以上は徒歩で杣谷へ向かい出発ました。一時間弱の道のり、坂道は全行程の半分くらい、と大したことのないハイキングですが、ちょっと気温が高かったですね。結構汗をかいちゃいました。「なんやカバンが重いなぁ」と思い振り返ると、中学生達の手がカバンに絡みついている…何を軟弱なことやっとんねん!<`ヘ´>

グツグツカレーを煮込み中  現地に着くと、既にお母さんたちは鍋に火をかけていました。子供たちはくっつき虫(オナモミ) におおはしゃぎ!そこら中で投げあいをやっています。トゲの痛いこと!薄いTシャツなら簡単に貫いてチクチク刺さります。あぁ、向こうのほうから上村コーチの悲鳴が…怒りの声に変わる前にやめとけよ〜。
 川上の方からポコポコと木魚にも似た音が聞こえていました。なんじゃいな?と偵察に行くと、林立したテントに囲まれてステージがありました。うわさのライブのようです。何で山ん中でライブやねん!しかも、よくわからん歌(?)を… 「なんかの宗教か?」と吉田コーチ。みんなそう思ったことでしょう。後で聞くと、まゆこコーチが場所取りをしていると、「チケット買わへん?」と声をかけられたそうな。声をかけられたことに加え、それをサラッと受け流したところもさすがまゆこコーチといったところですね☆

子供だけで頑張ってます。  カレーに入れる具を回収し、メインイベント飯ごうすいさんの説明をしました。飯ごうすいさんをやったことのある子は結構いましたが、他の子に教えてあげらる程の手馴れはいませんでした。本日のテーマは「すべての作業を子供だけの手でやること!」。 「君らがお母さんたちのご飯も炊くんやで。失敗したらみんなカレーの汁しか食べられへんねんで。」と脅してスタートです。4班あるうちの何班がちゃんとしたカレーを食べられることやら。とりあえず各班のコーチと中学生にはマニュアルを渡したんですが…

準備中〜☆ あ、コーチが手を出してる…  当初予定していた広場はポコポコ五月蝿い方々が使っていたので、少し下流でかまどを作りました。テーマの通り、実際に手を動かすのは中学生以下の子供たちだけ、大人は手を出さずに口を出します。しかも、教えていいのはヒントだけ。「ああしろ、こうしろ」というような指示はタブーです。私の班では徹底しましたが、他の班ではどうだったんでしょうね?とっても面倒見の良いYパパがせっせとかまどを作ってくれていたので、耳打ちしましたが。保護者の方々にもお伝えしておくべきでしたね。
 観察していると班によってかまどの形状、燃やそうとしているものが全然違い、個性が出ていました。いわゆる"かまど型"のかまど、スコップで穴を掘り、石を積んでいるかまど、ただただ石を積み重ねたかまど、吹き抜け形のかまど、アドバイスしたい気持ちを抑えながら見ていました。
城壁のようなかまどを作りました。 「ちゃんと火ぃついとんの〜?」 煙い…

 かまどを作っている間に、手の空いている子は薪を拾いました。前日に薪を買いにコーナンへ行きましたが、売っていませんでした。途方にくれていると、私がいつもお世話になっているたつのこ学童クラブ指導員の守さんに偶然出会い、「薪なんか買わんでも杣谷で木を拾って焚きつけられるで」とのアドバイスをいただき、現地調達に賭けたのでした。いささかの不安があったため、先に現地についていたマサトコーチと上田コーチがあらかじめ木を拾い集めてキャンプサイトの周辺にさりげなく散りばめておいてくれました。
燃えるもの捜索隊 パックの上にマッチが乗ってます。それじゃぁ点かんわな…

 子供たちが拾ってくる木も様々で、枯れ草ばっかり拾ってくる子、人の背丈ほどの木を見つける子、湿った枝を持ってくる子、などなど。火を点けるのも覚束ないものです。マッチに火をつけたら ( ・_・)ノ⌒-~ ポイっと無造作に積んだ木の上に放り投げます。着火剤として牛乳パックを用意したのですが、それに気が付いた班でもパックに火をつけて、やはり ( -_-)ノ⌒□"~ ポイっと…。教えなきゃわからないものなんですね。「炎はどっちに向かって出るん?木に火をつけたかったらどうしたらいい?」と声をかけてやれば気が付きましたけどね。

ぱっくんっ!  一番早い班は10分くらいで火点けに成功、炊き始められましたが、遅い班は1時間以上マッチと格闘していました。一番遅かったのは私の班だったのですが、時間がかかっても自分たちで点けて欲しかったので、見守りました。一度組んだかまどを壊してやり直したり、早くに成功した班のかまどを偵察したり。やっと火がついたときには他の班はもう食べ始めていました。多少めげたり、文句を口にしたりしていましたが、最終的には自分たちの手でやり遂げ、おいしいご飯を手に出来たことにちゃんと満足しているようでした。


水遊び中。今年は水量が少ないです。  食べ終わったらしばらく自由行動となりました。私は後片付けに必死だったので子供たちがどんな風に遊んでいたのか見ていませんが、川遊びやオナモミに興じていたことでしょう。燃え残りを一箇所に集めて燃やしきったり、後で必要になる穴を掘ったり。灰を埋めたり。持ってきた鳴門金時で焼き芋をするつもりがそんな時間さえありませんでした。(^^ゞ

 今回は後片付けにまでこだわりました。ローインパクト、自然に対して与える影響を最低限に抑える努力をしました。有機物は一切川に流さない、食べ残し、ご飯粒などは一切埋めずに持ち帰る、燃え残りを作らない、などです。飯ごうを水洗いするときには、直接飯ごうを川に浸けず、ペットボトルで川の水を汲んできて使います。排水はあらかじめ掘っておいた穴に捨てますが、ご飯粒も一緒に流してしまわないようにするため、台所の三角コーナーに使うネットを通して流しました。全部の飯ごうを洗い終わったあと、ネットの中には黒〜くなった特大おにぎりが出来ていました。
 意外と知らない人が多いと思いますが、焚き火は水で消してはいけません。炭化した木は非常に分解されにくく、自然に返りません。白い灰になるまで燃やし尽くすのが正しい焚き火なのです。私はずっと気をつけていたのですが、穴掘りをしている最中に背後で「じゅぅぅ〜」という音が…。ちゃんとマニュアルに書いておいたのに…。口頭でも伝えておくべきでしたね。

 後片付けを済ませ、みんなで焼き芋を食べたらもう帰る時間。山道をテクテク下りました。帰りは幼児組みも歩いて帰りました。下り坂ばかりなのでとても楽です☆…と思ったらまた中学生の手がカバンに。もう勘弁せ〜や。帰りはみんな道がわかっているので足の速い子はどんどん前へ行ってしまいます。八幡神社に着いたときには先頭と最後尾の差がかなり開いていました。今日はそれなりに歩き、山の上でもいっぱい働いたのでみんなお疲れの様子。家に帰ったらよく寝られたことでしょう。また、大人は一杯がとってもおいしかったことでしょう☆

■ 反省点

・ ビールを持っていくのを忘れた!
 保護者&コーチはかなりショックだった様子。
 ただ一人、運転手の上田コーチだけ内心ホッとしてらっしゃったと思います。

・ マニュアル配布が遅かった
 当日の朝にマニュアルを配ったため、企画意図や、作業の手順、気をつけることなどが徹底できませんでした。次の機会があれば、せめて前の週に、コーチに加えて保護者にも配るようにしたいです。

・ ローインパクトを徹底できなかった
 カレーの煮汁から出たアクをどう処理すればいいかわからず、結局草むらに捨ててしまいました。紙に吸わせて処理すればいいですかね?今度野外活動の師匠に聞いてみます。

■ 感想・エピソード

・ 遠足楽しかった - Toshiki君 -
 初めて飯盒でご飯を炊いた。うまくできた。おいしかった。
 歩きはしんどかった。

・ - Toshikiハハさん -
 長峰にはお墓があるので1年に何度か行くけど、歩きで行ったことは一度もない。河原でもカレーを食べてるとき以外ずーと立ちっぱなしだったから下に下りたとたん足がズ-ンと重くなった。帰りに寄ったスーパーでも店内を歩き回るのが億劫でそこそこに引き上げてしまった。運動不足をひしひしと感じた。でも、普段お話しない方とお話ができて楽しかった。
 最後になりましたが、早乗り込みで重たい荷物を運びこんでくださった方、コーチの方々お世話になりました。

・ - マサトコーチ -
 かまど作り、なかなか火が点かなかったけど、6年生を中心によくがんばっていたよ。文明の力を使わず、自分たちの力で自然のものだけを使ってご飯を炊くのは今の子供の生活にはほとんど見られなくなったので、ほんとに価値あることだと思うよ。